- はじめに
- 子どもが災害時に不安を感じる理由
- 防災絵本・読み聞かせ本が役立つ理由
- 子どもの心を落ち着かせる防災絵本おすすめ【10冊】
- 1. 『だいじょうぶ だいじょうぶ』(いとう ひろし/作・絵 講談社)
- 2. 『どうぶつポーズであそボウサイ』(かなざわまゆこ/絵・作 KADOKAWA)
- 3. 『ぼくのじしんえにっき』(八起正道/作 いとうひろし/絵 童心社)
- 4. 『ガタガタ村と大ナマズ』(山王三・四丁目自治会/文 寺田順三/絵 Z会)
- 5. 『ぐらぐらゆれたらだんごむし』(岡崎信江/監修 Meg/絵 東京書籍)
- 6. 『はなちゃんのはやあるきはやあるき』(宇部京子/作 菅野博子/絵 岩崎書店)
- 7. 『あっ!じしん』(金子章/作 鈴木まもる/絵 Gakken)
- 8. 『一生つかえる!おまもりルールえほん ぼうさい』(the rocket gold star/絵 山村武彦/監修 Gakken)
- 9. 『たいふうどうするの?』(せべまさゆき/絵 国崎信江/監修 金の星社)
- 10. 『にげましょう』(河田恵昭/著 共同通信社)
- 読み聞かせのコツ
- まとめ|防災知識を絵本から楽しく身につけよう
はじめに
地震や台風などの災害は、大人にとっても怖いものですが、子どもにとってはさらに大きな不安を感じる出来事です。
普段と違う環境や、親の表情から伝わる緊張感を敏感に察知し、心が落ち着かなくなることも少なくありません。
そんなときに役立つのが「絵本」です。

絵本には、やさしい言葉や繰り返しのリズム、温かいイラストを通じて、子どもの心を安心させる力があります。
また、親子で一緒に読むことで「大丈夫だよ」という気持ちを自然と伝えられるのも大きな魅力です。
この記事では、防災の知識をやさしく伝える絵本から、不安な気持ちに寄り添い心を落ち着けてくれる絵本まで、災害時に役立つおすすめの一冊を紹介します。
日常の読み聞かせの中で取り入れておけば、もしものときにも親子で安心できる“心の備え”につながります。

子どもが災害時に不安を感じる理由
災害が起こると、大人でも心がざわつきます。
ましてや小さな子どもにとっては、いつもと違う環境や音、周りの空気そのものが大きなストレスとなります。
子どもが災害時に不安を感じやすいのには、いくつかの理由があります。
• 非日常の出来事に対する恐怖
突然の揺れや停電、大きなサイレンなど、普段の生活では体験しないことが一度に起こるため、子どもは強い恐怖心を抱きます。

• 親や周囲の不安を敏感に感じ取る
子どもは大人の表情や声のトーンにとても敏感です。親が不安そうにしていると、その気持ちをそのまま受け取ってしまいます。
• 状況の理解が追いつかない
小さな子どもは「なぜ電気が消えたのか」「なぜ家を出なくてはいけないのか」を十分に理解できません。理解できないこと自体が、不安を大きくしてしまいます。
• 安心材料の不足
お気に入りのおもちゃや絵本がそばにない状況では、安心できるものを失った気持ちになり、さらに心細さが増してしまいます。
このように、子どもは大人以上に災害時の影響を受けやすく、不安な気持ちを抱え込みやすい存在です。
だからこそ「安心できる声かけ」や「心を落ち着けるツール」がとても大切になります。
そのひとつが、絵本による読み聞かせです。

防災絵本・読み聞かせ本が役立つ理由
災害時に不安を感じる子どもにとって、絵本はただの読み物以上の役割を果たします。
物語の世界に入り込むことで気持ちが落ち着いたり、繰り返し読むことで安心感を得られたりと、絵本ならではの力があります。
具体的には、次のような点で役立ちます。
• 絵や物語を通して理解しやすい
「地震が起きたらどうするの?」「避難訓練ってなに?」といったことを、絵本ならやさしく伝えられます。
難しい説明よりも、イラストやストーリーで直感的に理解できます。
• 繰り返しのリズムが心を落ち着ける
「だいじょうぶ」「おかしも」といったリズムのある言葉は、子どもに安心感を与えます。
読み聞かせを通じて、災害時でも心を穏やかにできるのです。
• 親子で安心を共有できる
災害時は、親も不安を抱えています。
絵本を一緒に読むことで、親子の距離がぐっと近づき「大丈夫、一緒にいるよ」というメッセージを自然に伝えることができます。
• 遊び感覚で防災知識を身につけられる
避難の合言葉「おかしも」や「はやあるき」なども、絵本を通じて楽しく覚えられます。
訓練のように堅苦しくなく、遊び感覚で繰り返せるのが魅力です。
このように、防災絵本や読み聞かせ本は「心のケア」と「防災教育」を両立できる頼もしい存在です。
日常の読み聞かせに取り入れておけば、もしものときにも子どもの安心材料となってくれるでしょう。
子どもの心を落ち着かせる防災絵本おすすめ【10冊】
不安な気持ちに寄り添う絵本や防災の知識をやさしく伝える絵本など、災害に役立つ本を10冊ご紹介します。
1. 『だいじょうぶ だいじょうぶ』(いとう ひろし/作・絵 講談社)
繰り返しの「だいじょうぶ」という言葉が心を落ち着かせてくれる絵本。災害時の不安な気持ちをやさしく受け止めてくれます。
おまじないの言葉として親子で声に出してみると、ほっとした気持ちになれます。
2. 『どうぶつポーズであそボウサイ』(かなざわまゆこ/絵・作 KADOKAWA)
かわいい動物たちの動きを通じて、6種類の「命を守るポーズ」を楽しく教えてくれます。
これまでは「地震が来たら机の下に入る」と教えられていたことの多かった防災教育ですが、「机の下に入る」という行動ひとつに対して、具体的に書かれていて小さな子供でも理解しやすい内容です。
3. 『ぼくのじしんえにっき』(八起正道/作 いとうひろし/絵 童心社)
地震を体験した小学生の気持ちが日記の形で描かれています。
同じ子どもの目線だからこそ共感しやすく、読み終わったあとに親子で会話が広がります。
いざ地震が起こった時の心の準備になる1冊です。
4. 『ガタガタ村と大ナマズ』(山王三・四丁目自治会/文 寺田順三/絵 Z会)
いつ、どこで発生するかわからない大地震。
事前に対処可能な物理的備えの必要性とともに、有事の際の臨機応変な判断力・行動力の重要性を、絵本を通じて語ります。
子どもたちには本当の生きる力を、保護者の方には自らと子どもを守る術を身につけてほしい。
未就学児への読み聞かせ用にも最適です。

5. 『ぐらぐらゆれたらだんごむし』(岡崎信江/監修 Meg/絵 東京書籍)
おうちで遊んでいる時や、お風呂に入っている時など、子供に想像しやすい状況で地震が起きたら具体的にどのような行動をとったらいいのか教えてくれます。かわいいイラストで低年齢のこにもおすすめで、楽しく知識をつけることができます。
6. 『はなちゃんのはやあるきはやあるき』(宇部京子/作 菅野博子/絵 岩崎書店)
はなちゃんの通う保育園では、月に一度、避難訓練があります。
でも、のんびりやのはなちゃんは、いつもおくれてしまうので、はやあるきの練習をすることにしました。
そんなある日、とつぜんおおきな地震がおこったのです…。保育園の子どもたちが、じっさいにおきてしまった災害に立ち向かいます。じぶんでじぶんの命をまもることの大切さを伝えるお話。
東日本大震災で全園児が助かった奇跡の保育園の実話がもとになっています。
7. 『あっ!じしん』(金子章/作 鈴木まもる/絵 Gakken)
いつどこで地震が起きても、自分で自分の命を守れる方法を考える絵本です。
危機管理対策アドバイザー監修で作られました。
家庭での防災意識を高める第一歩としておすすめの1冊です。

8. 『一生つかえる!おまもりルールえほん ぼうさい』(the rocket gold star/絵 山村武彦/監修 Gakken)
地震、台風、土砂災害。明日起きるかもしれない大きな災害。
どんな災害にあったら、どうすればいいのか具体的な行動のルールがわかりやすい文章とイラストで書かれています。
状況にあわせた行動を取るのは大人でも難しいですよね。普段から親子で「こんなときはどうする?」と会話のきっかけにもなります。
9. 『たいふうどうするの?』(せべまさゆき/絵 国崎信江/監修 金の星社)
子どもの身のまわりで起きる災害や犯罪、危険なことから、自分で自分の身を守る方法を学ぶ、防災・防犯の知識絵本。
絵本を通じて子ども自身に考えさせ、日頃から備える大切さを伝えます。
巻末に大人向けの解説付きが付いているので、より知識を深めることが出来ます。
10. 『にげましょう』(河田恵昭/著 共同通信社)
巨大津波や大型台風、原発事故…。
それらがどのように襲ってくるかがわかると、逃げるタイミングがとても大切なことがわかります。
この本ではその重要なタイミングについて詳しく紹介されています。
大人でも知らないことが、子どもにも分かりやすく書いてあります◎
これらの絵本は「読むだけで安心するもの」と「行動を学べるもの」の両方をバランスよく選ぶのがポイントです。
普段の読み聞かせに取り入れておけば、いざというときの心の備えにつながります!
読み聞かせのコツ
災害時の読み聞かせは、ただ絵本を読むだけでなく「安心の時間」をつくることが大切です。ちょっとした工夫で、子どもの心をより落ち着けることができます。
• 穏やかな声で、ゆっくり読む
早口で読むと子どもの緊張が高まってしまうことがあります。落ち着いたトーンで、ゆったりとしたリズムで読むと安心感が広がります。
• 子どもの気持ちに寄り添う
「こわかったね」「どう思った?」と声をかけながら読むと、子どもが気持ちを表現しやすくなります。読み聞かせは会話のきっかけにもなります。
• 「大丈夫だよ」を繰り返す
絵本の内容に合わせて「だいじょうぶ」「一緒にいるよ」と声をかけることで、子どもの不安を和らげられます。
•読んだ後に防災について話してみる
物語の中に出てきた避難訓練や合言葉を、親子で一緒にやってみるのもおすすめです。遊びの延長で自然に学べるので、子どもも前向きに取り組めます。
読み聞かせは、安心を届けるだけでなく「親子の心を結び直す時間」にもなります。普段の読み聞かせ習慣を、災害時にも続けていくことが大切です。
防災時に絵本を活用する工夫
絵本は読み聞かせるだけでなく、災害時の「安心アイテム」としても大きな力を発揮します。少しの工夫で、子どもの心を守るサポートができます。
• 防災バッグに小さな絵本を入れておく
お気に入りのミニ絵本や小型の絵本を1~2冊用意しておくと、避難所や車中泊などでも安心につながります。
• 停電時でも読める「紙の本」を選ぶ
電子書籍は便利ですが、電気が止まると使えません。手元に紙の絵本があると、いつでも読んであげられます。
• 子ども自身が選んだ一冊を用意する
お気に入りのキャラクターや物語の本を入れておくと、不安な状況でも「これがあるから大丈夫」と気持ちを支える存在になります。
• 普段の読み聞かせ習慣を続ける
災害時も「いつもと同じ読み聞かせ」をするだけで、子どもにとって大きな安心につながります。声のトーンや読む順番なども普段通りを意識しましょう。
絵本は、非常食や水と同じように「心の防災グッズ」といえます。
物資の準備と一緒に「安心できる一冊」を用意しておくことが、子どもの心を守ることにつながります。

まとめ|防災知識を絵本から楽しく身につけよう
防災絵本は、ただ物語を楽しむだけでなく「いざという時にどう行動すればいいか」という知識を、子どもにもわかりやすく伝えてくれる心強いツールです。
避難の流れや災害時の工夫を物語として学ぶことで、親子で自然に防災意識を高め、非常時に落ち着いて行動できる力を培うことができます。
さらに、絵本には「心を落ち着ける小さな避難所」としての役割もあります。
慣れない環境や不安な状況でも、読み聞かせのひとときがあるだけで、子どもは安心感を取り戻し、親も冷静さを保ちやすくなります。
水や食料と同じように、防災グッズのひとつとして絵本を備えておくことは、知識と安心の両方を届ける大切な準備です。
親子で一緒に読める一冊を見つけ、普段の生活に取り入れてみてください。それが、いざというときに家族を守る力につながります。
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