はじめに
小学校1年生は、文字を少しずつ自分で読めるようになり、読書の楽しみがぐっと広がる時期です。まだ親と一緒に読む時間を大切にしつつ、自分だけで本の世界に入り込む喜びも味わい始めています。
そんな1年生にとって、秋は読書にぴったりの季節です。

木々の色づきや落ち葉の音、食べ物のおいしさや行事のわくわく感など、季節ならではの体験が感性を刺激し、本の物語とつながっていきます。本を読むことで、子どもは身近な自然や文化を新しい視点でとらえたり、自分の生活と重ね合わせたりできるのです。
この記事では、図書館司書の視点から「秋におすすめしたい1年生向けの本」を絵本から児童書まで幅広くご紹介します。読書の時間が、親子の会話や学校生活をさらに豊かにしてくれるきっかけになれば幸いです。

1年生にぴったり!秋を楽しむおすすめの本
秋の自然や科学にふれられる本
『もりのてがみ』(片山令子/文 片山健/絵 福音館書店)
秋の森から届く手紙を通じて、自然の豊かさを感じられる絵本。落ち葉や風の表現が美しく、季節の移ろいを味わえます。
『どんぐりかいぎ』(こうやすすむ/作 片山健/絵 福音館書店)
どんぐりの木たちは、実を小動物たちに食べつくされて大弱り。「どうしたら元気な若木を育てられるだろう?」と会議を開きます。植物界と動物界の、ユーモラスな知恵くらべの始まりました。
『おやすみなさいおつきさま』(マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 クレメント・ハード/絵 評論社)
絵本を開けば、そこに広がるのは大きな「みどりのおへや」。
ぼうやと「おやすみの儀式」をしながら、だんだんと暗くなる「おへや」と一緒に気持ちのよい眠りへと誘われていきます。
おやすみなさい、いいを夢みてね。
食欲の秋を感じる本
『おいもをどうぞ』(柴野民三/作 いもとようこ/絵 ひかりのくに)
動物たちが焼きいもを分け合う心温まるお話。おいもを食べる楽しさと「わけあう喜び」を一緒に味わえます。読み終わったあとはほっこり、心も温かくなる一冊です。
『ぶどうくん』(さとうめぐみ/作・絵 PHP研究所)
ぶどうくんは、元気いっぱいな男の子。おいしいもりで大縄跳びをしている果物と野菜たちをみて、仲間に入れてもらうことにしました。ところが、ぶどうくんは、ふざけて踊ってみせたり、葉っぱやつるをひっかけてしまったり、みんなの邪魔をしてばかり。そんなぶどうくんに、みんなは文句を言いだしました。するとどこからか、砂の妖怪・サバクダーが現れ・・・。ついついふざけてしまう一年生は共感すること間違いなしです!
行事や文化を知る本
『わんわん!ハロウィン!』(ジャネット・ローラー/文、キャスリン・セルバート/絵 大日本絵画)
わんちゃんだって、かそうして、おかしのためにはりきります。みつばちやシーツのおばけ、ミイラにだってなれちゃうよ。とびだしが楽しいしかけえほんです。
『七五三だよ 一・二・三』(長野ヒデ子/作・絵 佼成出版社)
七五三ってどんなお祝いなのかな? おばあちゃんがやさしくみんなに教えています。家族3世代がそろってのお祝いの一日が、ほのぼのと描かれています。
読み物へのステップにぴったりな児童書
『いちねんじゅうおばけずかん ハロウィンかぼちゃん』(斎藤洋/作 宮本えつよし/絵 講談社)
それぞれのおばけが、どんなふうに怖いのか。秋にはハロウィンのおばけ、ひなまつりには?季節ごとのかわいらしいお化けが登場します。短編集なので、短いお話が苦手な子にもおすすめです♪
『すいはんきのあきやすみ』(村上しい子/作 長谷川義史/絵 PHP研究所)
台所からお母ちゃんの「あかん。あかん」という泣きそうな声がしたので様子をみにいくと、すいはんきの蓋が開かなくなってしまったようなのです。お弁当のご飯をどうしたものかと困るお母ちゃんを前に、突然、目と口と鼻ができたすいはんきがしゃべり出し、早く運動会に行こうと言い出して・・・。続きが気になってどんどん読み進められる1冊です。
『ルルとララのスイートポテト』(あんびるやすこ/文・絵 岩崎書店)
いつもはめだたない「さつまいも」もルルとララの手にかかればオシャレなスイーツに大変身!本のなかで、実際に作れるスイートポテトのレシピも紹介されているので、親子で一緒に作るのも楽しいですね♪
読書をもっと楽しむ工夫
小学校1年生は、自分で文字を追えるようになってきたとはいえ、まだ長い物語を一気に読むのは大変な時期です。そこで、読書をもっと楽しくするためには、親子で少し工夫を取り入れることがおすすめです。
音読
声に出して読むことで、言葉のリズムや表現の楽しさを体験できます。間違えても笑い合える雰囲気なら、子どもも安心してチャレンジできます。家庭で音読の習慣がついていると、学校での国語の授業も自信を持って挑むことができます。
生活や体験とつなげる
さらに、本の内容を生活や体験とつなげる工夫もおすすめです。自然や食べ物の本を読んだ後に外でどんぐりを拾ったり、簡単な料理を一緒に作ったりすると、読書体験がぐっと身近になります。手頃な図鑑を持って散歩に出かけるのも楽しいですよ♪
子供の興味の種は色々なところに散らばっているので、本を上手く活用して種まきしてあげましょう♪
習慣づくり
寝る前に一章ずつ読むなどの習慣づくりも効果的です。毎日のリズムに読書を組み込むことで、本を読むことが子どもにとって安心感や楽しみになっていきます。
ママやパパが読書している姿を見せるのも子供にとって効果的。
「ママはこんな本を読んでいるんだけど、〇〇ちゃんは?」など声をかけると、子供も自慢気に自分の本を紹介してくれます。
こうした小さな工夫を積み重ねることで、1年生の読書時間は「ただ読む」だけでなく、心に残る豊かな体験へと広がっていきます。

司書が伝えたい1年生の読書の魅力
繰り返し読むことの大切さ
1年生の子どもたちは、気に入った本を何度も手に取ります。一見「同じ本ばかりで大丈夫かな?」と思うかもしれませんが、繰り返し読むことで言葉を覚えたり、登場人物の気持ちをより深く理解したりしています。読むたびに新しい発見があり、物語の世界が子どもの中で育っていくのです。
季節の本で日常を豊かにする
秋の自然や行事をテーマにした本は、学校生活や家庭での体験とつながりやすいのが魅力です。
たとえば、どんぐりを題材にした本を読んだあとに実際に拾ってみると、物語と現実が結びつき、学びや喜びがいっそう深まります。季節を感じながら読むことで、読書は子どもの日常に寄り添うものとなります。
短いに体験したことは、次の本を選ぶ手助けにもなります。タイトルや本の内容が未知の物を選ぶ子は少ないですが、自分の経験とリンクすることで選びやすくなり、読める本の幅もぐっと広がります。
まとめ
小学校1年生は、まだ親子で一緒に読む楽しさを感じながらも、自分だけで物語の世界へ踏み出す大切な時期です。そんな今だからこそ、秋にぴったりの本を選ぶことは、子どもの心と学びを豊かにする特別な時間になります。
お気に入りの本を繰り返し読むことも、季節の物語を生活と結びつけることも、すべてが子どもの成長につながっています。読書を通して得た体験や感動は、学校生活や日常に彩りを与え、親子の会話をさらに広げてくれるでしょう。
ぜひこの秋は、本を通じて「読書の秋」を親子で味わってみてください。1年生の「今」に寄り添う一冊との出会いが、きっと未来につながる大切な読書体験となるはずです。
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